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送電鉄塔は不要物ではない。ただ鉄塔は景観を阻害する。新しくなった鉄塔を巡り、景観に対する考えがさまざまに交差している。
美馬牛の丘を走る送電鉄塔が一新された。場所は上富良野町深山峠方向から美馬牛小学校の裏を通り、福美沢の赤い屋根の家の近くまで真新しい高架の鉄塔が並んでいる。旧鉄塔は本体のみで自立する自立型電柱であり、骨組みの外形が四角錘の形になった四角鉄塔はひと回り大きくなり高架となって周りの景観を威圧している。
送電鉄塔を高架にすることは農家の要望でもあった。農業機械が大型化され、安全性を図るためには高架が望ましい。また農作業を円滑に行うため耕作地の中の鉄塔は、出来るだけ避けたいのが実情である。
今回建て替えられた送電鉄塔はそれらの与件を十分留意し、送電線の位置を高くして、尚且つ鉄塔の数も少なくした。
美瑛町は美しい村の保全と形成に向けて、平成15年「美瑛の美しい景観を守り育てる条例」を制定した。条例は大きな建物の建築や開発などに事前の届け出を義務付けている。
今回の送電線鉄塔の更新も、事業主の北海道電力からの申請を受け町の景観審議委員会で審議している。図面上に新設する鉄塔を置き、環境に対する負荷を検討。また色や高さを議論したが、送電線を高くして鉄塔の数を減らすとなると作る鉄塔は限られた。
また地域に対する説明は、地域の行政区が窓口となり意見収集を行った。
今回新しくなった鉄塔は、地権者の農家の要望に叶うものであり、審議を進める審議会も適切な処理を行ったといえる。
しかし新しく立った鉄塔がより目立つようになったことは事実である。ここ数年多かった携帯電話の鉄塔より、鉄塔は数が多いだけに景観に及ぼす影響は大きいと云える。
今や美瑛の「景観」は、丘や山や畑を所有する個々の所有者のものとは違って町民の共通した財と云える。これ以上、美瑛の景観に負荷が掛からないように、どうすれば良いのか、幅広く考えることが大事かと思う。